御彼岸を迎えて

 ついこの間お正月だったのに、もう春の御彼岸を迎えましたね。コロナ騒動で小中高校への休校要請があり、中国から部品が届かない影響や外国からの観光客が来日しないなどから始まり、日本では実体的な経済活動がほぼ停止状態になりました。世界経済を部品製造で下支えし、巨大消費地でもある中国が動けないことから経済活動への不安が起こり、アメリカでの株安が大きな波となってさらに経済への信用不安も引き起こしています。
 政治家の勤めは国民に安心を与え、先に進もうという意欲をおこさせることであり、具体的な施策を企画立案する権限が与えられています。
 よく政治家は「常在戦場」などと云います。当選しなければ(絶対的な権限を与えられる)議員の職に与らないのですから、「常に選挙を意識して働くべし」というくらいの言葉なのでしょうが、今回のようにさまざまな危機に当たってどう対処するのか、すべきなのか。
 「パンデミックが近い将来起こりうる」という概念はすでにあり、現実に2009年にもこの国を襲いました。その知見を元に、政治・医療・経済などのシステムがどう作動したら、感染者や患者を少なくできるのか。まさに「常に危機にどう対処するか」を考えておく必要があり、それがシンクタンクの存在意義だろうと思います。それこそ、森羅万象を分析し対処法を段階的にセットしておく頭脳と場所が必要なのです。今回の騒動で学ぶべきは、法律を泥縄で作るよりも、常に置かれた立場を考え命令し行動できるシステムを作らねばならない、ということですが、

 フランス文学者で武道家の内田樹氏はそのコラム(人口減社会の未来学)で、『日本社会には最悪の事態に備えて「リスクヘッジ」をしておくという習慣がないということです。ただ、誤解して欲しくないのですが、僕はそれが「悪い」と言っているわけではありません(そんなこと今さら言っても仕方がありません)。そうではなくて、どんな場合でも、日本人は「最悪の事態」に備えてリスクヘッジする習慣がなく、そういう予測をすること自体を「敗北主義」として忌避するという事実を勘定に入れてものごとを考えた方が実用的ではないかと言っているだけです。日本人というリスクファクターを勘定に入れておかないと適切なリスク管理はできない。』

 今回デマによる買い占めもありました。食糧危機やエネルギー危機、気候変動や環境問題もあります。

 もし政治家にその気が無くて政権に危機対処能力が蓄えられないなら、個々人はどうできるのか?ですが、「最悪の事態は起こりうる」ということを我が胸の奥に置いておく、という方法しか無いのではないでしょうか。それが釈尊の時代から続く「今を生きる」という生き方のような気がします。


 この世界に遍在している妙法の教えが本佛釈尊によって示され、また気づかされ、気づいていくためには受け止めて伝えるいのちがなければなりません。


 最悪の事態は起こりうるけれど、一人ひとりが我がいのちを伝えることによって、教えをあらしめようという気持ちを大事にするならば、人口減という事態に対処する方策は自ずと明らかになるのではないかと思います。石にかじりついてもいのちを伝えるしかないのです。

2020/3/20